タイの公衆電話
携帯電話がまだ一般に出まわっていない頃、タイで電話をかけるのは大変だった。安宿の部屋に電話機はなく、必要なときは公衆電話を使うしかなかった。
が、騒音のひどい大通り沿いを避けて探すと、なかなか見つからない。やっと探し当て、使おうとすると壊れている。隣の電話機に移っても同じ。ダイヤルボタンが堅くて押せなかったり、押すと戻ってこなかったり、コードが千切れているのもあったりして、呼び出し音を聞くまで1時間近くかかることも珍しくなかった。
それがいまはシムカードを入れ替えれば、日本で使っているスマホがそのまま使える。会話だけでなくメールやネットまでできる。苦労がなくなったぶん達成感も目減りしたのだろうが、旅がラクになったことは間違いない。
公衆電話はタイでも撤去が進んでいるが、いまでも見かける。苦労させられたからか、目にすると懐かしい気持ちになる。